MRの太陽

その当時私は、外資系製薬会社のMRだった。

沖縄全土を担当していて、何時も福岡と沖縄を往ったり来たり。
ある会議の帰り、JALの機内のヘッドホンから、ノリノリのロックンロールが流て来た。

「なんじゃコイツら、スゲーカッコいいじゃん！」と成って、其れ以来虜になってしまった。

当時の沖縄担当のMRの仕事は熾烈を極め、武士道なんて通用しないウチナンチュに悪戦苦闘していた。
MRは、Dｒ.の学会のお世話や、治験依頼、プレゼン、正確な医学情報の伝達なので、多忙な職種だ。

福岡ではエリート社員だっだが、沖縄では全く実績が上がらない。これには参った。
抑々「沖縄人とは何か」と言う事を疑問に感じて、何冊も本を読んで勉強をし始めた。

沖縄には、薩摩藩から侵略を受けて琉球王国が滅亡し、太平洋戦争に負けてアメリカ領土となった歴史がある。

だが、ウチナンチュは何時も誇り高く、激変する環境にも十分対応して来た。

沖縄文化は日本文化よりも造形が深く、「先祖崇拝」「助け合い」「許し合う文化」だと言う事が解り、感銘を受けた。
私は武士道を重んじる人だったので、礼節や約束事には厳しかったが、許し合う事の大切さは欠けていたと思う。
それからと言うもの、対人関係が向上し、Dｒ.と嘉手納基地内で頻繁にゴルフをしたり、家族ぐるみでバーベキューをしたり、時には先生と看護師さん達と乱交バーティーをしたり。。。（先生、ずるいよ。自分だけパイプカットして、中出しするんだもん）

素晴らしい沖縄での４年間の体験だった。
国道５８号線を突っ走ると、信じられない位の大きな太陽が、太平洋にドドーンと沈む。
ライオンズマンションで待つ娘。産まれたばかりの息子。長崎での新しい暮らし。

「山あり谷ありの人生だけど、まぁ、なんくるなるさ～」