人間ウォッチ
毎朝のルーティーン、掃除洗濯、生き物のお世話。
此れさへ済ませれば、全部自由時間だ。
早々自転車で、春の松江観光に行く。
この国は、こんなにも豊かで平和なんだと、不思議に思う。
駅前のベンチで、友達の鳩に餌をあげていると、高校生の男女が募金活動をしていた。
「よろしくお願いしま~す。有難う御座いました~!」元気が良い、良く透き通る声だ。
段ボールで作られた募金箱には、「ウクライナ募金」と書かれている。
感激してしまって1,000円札を入れたんだが、返って気恥ずかしい気持ちになった。
人間ウォッチは何時も、自分の姿勢を正してくれる。
洒落たカップルは、お互いに見向きもしない。
スーツ姿の如何にも仕事の出来そうな男は、完全に無視。
優雅な着こなしの眩い位の貴婦人は、ツンと鼻を鳴らして通り過ぎる。
ヤンキーの様な若者が、マジマジと募金箱を眺めてから、募金する。
浮浪者の様なお爺さんが、破れそうな財布を手にして、小銭を入れる。
悔しいやら、嬉しいやらで、其処ら中に野鳥の餌をばら蒔いた。
途端に、無数の鳩が舞い降りて来て、辺り一面、鳩だらけじゃん。
一瞬、世界が平和になった様な気がした。